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FPD(Flat Panel Display)製造工程中のリペア装置 |
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通常、リペア装置は検査工程の後に設置されます。
検査工程では専用の検査装置などを用いて、FPD基板を1枚ずつ検査し、良・不良を判定しています。
不良基板の場合、正確な欠陥位置(座標)がデータとして出力され、リペアエ程にその欠陥位置(検査データ)と不良判定されたFPD基板が送られてきます。
リペア工程では、送られてきた基板の欠陥箇所を装置オペレータが視認して、“リペア可能”と判断した場合、レーザー加工やペースト塗布を行い欠陥箇所の修正作業が行われます。残念ながら“リペア不可能”と判定された基板はFPD製造工程から取り出されます。このように、リペア装置ではFPD製造工程中に発生した欠陥の形状判定を行う“欠陥の外観検査装置”的な役割も兼ね備えています。リペアエ程後のFPD基板は、再び検査工程に戻されて再度、良・不良の判定が行われます。
リペア装置の主な役割である欠陥に対するレーザー加工やペースト塗布は、装置オペレータの手動操作により行われます。これは、FPD基板に発生する欠陥が同じ形状や形態ではないために、その欠陥ごとに、レーザー加工条件やペースト塗布条件を変更する必要があるからです。しかしながら、最近の装置開発によりレーザー加工やペースト塗布を自動化する試みも成されております。 |
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FPDのリペア方式 |
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FPDに発生する欠陥は、ショートやはみ出しによる黒欠陥と、断線や欠けによる白欠陥の2種類に大別されます。(図1・図2参照)。
黒欠陥の修正には、パルス幅がns(10-9s)オーダーのQスイッチレーザーが使用されております。このように短いパルス幅のレーザーを加工対象に照射すると、レーザーのパルス幅とほぼ同じ時間でその場所が加熱されます。
加熱時間はごく短時間ですが、そのパワー密度は、数百MW/cm2に達すると考えられております。このため、レーザーが照射された部分は、加熱と同時に爆発的な勢いで蒸散します。加熱時間が短時間のため、レーザーが照射された部分以外は熱が伝わることがなく加工が起こりません。
リペア装置では除去する欠陥の形に合わせてレーザーの形状を任意に調整し、図1に示すように指定した場所のみの除去が可能となっています。最小加工サイズも約1µmと微細です。また、レーザーによる黒欠陥修正は、「レーザーはFPD基板材料であるガラスを透過する」ということから、FPD基板の貼り合わせ前後を問わずに行えるという利点があります。
レーザー加工の特殊な応用例として、レーザー溶接とLCD配向乱し加工があります。レーザー溶接とは、TFT基板などに用いられる手法で、多層構造を持つ部分において絶縁膜に挟まれた上下の金属膜を溶接するという手法です。また、LCD配向乱し加工はLCDのセル(パネル)基板のみに用いられ、液晶の配向膜にレーザーを照射しその部分から蒸散する粒子や熱などを利用して配向膜の機能を停止させる手法です。これはLCDの輝点欠陥修正に用いられます。これらの特殊加工を実施するには、LCDの構造を知る必要があり、加工対象となるLCDのメーカーと共同作業で加工条件を見つける必要があります。
一方、白欠陥の修正には、ペースト塗布やレーザーCVDなどが利用されております。レーザーCVDは高い品質の修正が行えますが成膜する材料が限られるために修正する部位も限られ、装置が高価となります。ペースト塗布は装置も比較的安価であり塗布する膜の種類も多種です。しかし、レーザーCVDの最小加工サイズに比較するとペースト塗布の最小サイズは数十µmとかなり大きくなります。
このため、ペースト塗布後は余分なはみ出し部分を黒欠陥修正のようにレーザーで除去し、整形する必要があります。そして、塗布したペーストをFPD基板に強<密着させるために焼成する必要があります。ペーストの焼成には、レーザーをパルス化することなく連続発振させて焼成を行っております。(図2参照)。
現在、ペースト塗布による白欠陥修正は、LCD基板やPDP基板のITO膜、PDP基板のAg電極、PDP基板の蛍光体、PDP基板のバリアリブなどに使用されております。 |
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(図1) |
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(図2) |
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波長 |
1064nm(IR) |
532nm(Green) |
355nm(UV) |
266nm(DUV) |
金属材料 |
クロム(Cr) |
アルミ(Al) |
ITO |
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銅(Cu) |
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金(Au) |
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モリブデン(Mo) |
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チタン(Ti) |
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ニッケル(Ni) |
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ニッケル・クロム |
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チタン・タングステン |
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絶縁材料 |
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シリコンナイトライド |
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ポリイミド |
TFT |
配線の溶接 |
カラーフィルター |
RGB |
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カラーフィルター内の不純物 |
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CF上のオーバーコート |
半導体/FPD |
ポリシリコン |
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加工例 |
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